手作り石けんの生地がボウルの中でなかなか固まりません。どうすればいいの?
コールドプロセス製法て作る「手作り石けん」で一番時間がかかるのは石けん生地(タネ)をクルクル混ぜている時
型入れのタイミングは石けん生地にトレース*¹が出てきた時なのですが
生地を混ぜ始めて型入れまでの時間は大体15分~2時間くらいです。
型入れまでの時間は材料のオイルの種類や苛性ソーダの量、生地の温度などで全く変わってきます。
ライスブランオイル(米ぬかオイル)は比較的型入れまでの時間が早いのですが、オリーブオイルで作るマルセイユ石けんなどはなかなか固まってくれません。
自宅で作ってみた生徒さんの中には、まる1日かけても固まらなかったという方も・・・
では型入れの予定時間はとっくに過ぎているのに、混ぜても混ぜても全く固まらない場合はどうすればよいのでしょうか。
その原因はおおよそ3つあります。
1. 材料の量り間違い
2. 生地の温度が低い
3. 室温が低い
では順番に原因と対策を見て見ましょう。
(*1:トレースとは石けん生地の表面に泡だて器で書ける線のこと、または線が書けるような状態のこと。)
【 1. 材料の量り間違い 】
数グラム程度の量り間違いは大丈夫なのですが、オイルや精製水、苛性ソーダの量を極端に間違えてしまうと、石けん生地(タネ)が全く固まらなかったり、反対にすぐにカチカチに固まってしまったり・・・
全く固まらないということは、オイルや精製水の量に対して苛性ソーダの量が少なすぎる、あるいはオイルや精製水を多く入れすぎてしまった場合などが考えられます。
生地がきれいに混じりあっているときは、そのまま数時間そっとしておき様子をみます。
少しずつでも生地が固まってきていれば、まだ可能性はありますので気長に混ぜながら固まるのを待ちましょう。
しかし型入れの予定時間はとっくに過ぎていてもとろとろで、混ぜても全く固まる気配がないときや、生地が分離してしまっているときは残念ながら失敗と言わざるをえません。
下記のページを参考に、石けんの生地(タネ)を処分して下さい。
くれぐれも失敗した石けん生地はそのままシンクに流してはいけません。
➤失敗した手作り石けんの生地はどうすればいいの?
【 2. 生地の温度が低い 】
オイルに苛性ソーダ水溶液を混ぜ合わせるときに、両方の温度を40℃~50℃位の間にそろえてから混ぜるのですが、この温度というのが大切なのです。
苛性ソーダはオイルと反応し石けんに変化(ケン化)していくのですが、生地の温度が冷え切ってしまうと反応の進み具合が非常に遅くなってしまいます。
そうなるといくら一生懸命混ぜていても、何時間も頑張ってみても、石けん生地はとろとろのままでいつまでたっても固まってくれません。
生地の入っているボウルを外から触ってみて、冷たくなってしまった場合は『 ヒートショック製法 』の出番です。
『 ヒートショック製法のやり方 』
①生地を混ぜながら湯煎にかけます。
②5分ほど温めたら湯煎からはずし再度混ぜます。
③生地の温度がぬるくなってきたら再度湯煎にかけます。
④①~③の作業を2~3回繰り返します。
この『 ヒートショック製法 』は石けんに変化(ケン化)するまでの時間が長いことで知られているオリーブオイルを主原料にした石けんを作る時にも役立ちますので、ぜひ覚えておいてください。
➤マルセイユ石けんを1時間で型入れする方法
【 3. 室温が低い 】
石けんを作るのに良い季節は春と秋!
反対に湿度の多い梅雨と、気温の低い冬はあまり石けん作りに適しているとは言えませんが、湿度と室温に気をつければ上手く作ることができます。
生地が全く固まらない原因の一つは室温が低いことあります。
室温が低くなると石けん生地が冷えるスピードが速くなり、室温が10℃以下なら10分も混ぜていると生地は冷たくなってしまいます。
そうすると生地はいつまでたってもとろとろで固まってくれません。
冬場に石けん作りをする場合は室内の温度を温かくして行ってください。
さらに生地が冷えてしまった場合は上記の「2.生地の温度が低い」を参考に生地の温度を上げてみてください。
なお、生地の混ぜ方がゆっくりだと固まらないのでは?とよくご質問を受けます。しかし私の経験上、極端に混ぜ方がゆっくり(ほとんど動かしていない場合)以外は、普通に混ぜていれば通常どおり石けんができあがります。
講習会ではもちろんみなさん混ぜ方のスピードは異なりますが、普通にくるくると混ぜる方と、とても速く混ぜる方とでは型入れまでの時間に差はあまり見られないのです。
➤美肌を作る手作り石けんの基礎
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