最高の贅沢!「マルセイユ石けん」の作り方

 

 
 
 
さて、いよいよ昔から世界中で愛されているマルセイユ石けんを作ってみましょう。
 
愛される理由はもちろん、その最高に贅沢なとろけるようなやさしい使い心地です。
 
マルセイユ石けんの泡は、やさしくまろやかで、ずっと触っていたくなるような心地よさを与えてくれます。
 
もちろん洗い心地は、洗顔後の化粧水を忘れてしまうくらい、しっとりつやつやです。

 
 
 

マルセイユ石けんってどんな石けん?

 
 
 
Ⅰ:マルセイユ石けんの歴史
 
 
フランスのマルセイユ地方で石けんが作られるようになったのは9世紀ごろのことです。本来は72%のオリーブオイルと28%アルカリ水で作る石けんの事だったようです。しかし、いつの頃からかオイル全体量の72%をオリーブオイルで作る石けんがマルセイユ石けんとなりました。72と刻印が押されているのはその証なのです。
 
またヨーロッパでオリーブオイルが不作で取れない時期があり、オリーブオイルの使用量を抑えるためにオイル全体量の72%まで減少させて作ったことが現在まで影響しているという説もあります。
いずれにせよ、マルセイユ石けんはオリーブオイルが決め手です。しかもエキストラバージンオリーブオイル(EXVオリーブオイル)で作るのが本物!
 
 
Ⅱ:オリーブオイルのグレード
 
 
オリーブオイルにはグレードがあり、一番上のグレードがEXVオリーブオイルです。マルセイユ石けんはEXVオリーブオイルで作るのが本物!その下のバージンオイルや精製オイルでももちろん作ることはできますが、せっかくマルセイユ石けんを作るのだから、ぜひEXVオリーブオイルを使ってください。
 
理由は簡単!
 
EXVオリーブオイルは圧搾法で絞った一番搾り、しかも脱ガム、脱ロウなどの工程は一切せず、しぼりたてそのままのオリーブオイルのみがエキストラバージンの称号を与えられます。
 
バージンオイル以外のグレードのオイルは、オイルをしぼった後の種子に、エーテル、トルエンなどの溶剤を加え、種子の中に残っている油脂分を有機溶剤を利用して取り出します。そして有機溶剤が混ざったオイルから、有機溶剤だけを取り除いたオイルがその他のオイルとなります。
 
EXVオリーブオイルには栄養分がたくさん含まれており、精製度も低くしてあるものも多く、中には絞りかすの種子の黒いカケラが入っている物に出会う事もあります。そんな時私は、本当に手を加えていないオイルに出会えたことに感動します!
 
つや肌流がオススメするEXVオリーブオイルは濃い緑色をしたオイル
 
この緑色は今話題のフラボノイドの色、又はクロロフィル系の色でファイトケミカルと言われていて、ブルーベリーのアントシアニンなどもこのフラボノイドの一種です。フラボノイドは植物が紫外線から自分の身体を守るために体内で抗酸化成分を作りだし、自分の体を太陽の強力な紫外線から守っています。
 
➤オリーブオイル~保湿成分たっぷりで乾燥肌におすすめ!
 
 
Ⅲ:型入れまでの時間
 
 
マルセイユ石けんの作業は、基本的には「米ぬか石けんの作り方」と同じですが、オリーブオイルを主原料にした石けんは、ケン化(石けんに変化する化学反応)の時間が長いことで知られています。型入れまでに2日もかかってしまったという方もいらっしゃいます。しかし少しの知識とコツを知れば、1~2時間程度で型入れまで進めることができます。作り方「Ⅴ:型入れ」の項目をご参考にしてください。

 
 
 

準備するもの

 
 
 
【 材料 】 (約500g分)
 
 
 

 
・EXVオリーブオイル 240g
・ココナッツオイル  59g
・パームオイル    33g
・精製水(純水)   128g
・苛性ソーダ     41g
・エッセンシャルオイル 1~5ml
 
 
 
【 道具 】
 
 

 
 
①ボウル 大2個、小2個(ステンレス又はガラス製、大は1ℓ程度の大きさ)
②計量カップまたはビーカー
③フタに穴をあけた耐熱性ボトル(ガラス瓶)
④鍋 2個 (ステンレス又はホーロー製で、ボウルが湯煎できるもの)
⑤泡だて器
⑥ガラス棒又はスプーン(ステンレス製)
⑦ゴムベラ
⑧温度計
⑨石けんを流しいれる型(牛乳パックでもOK)
⑩石けん型を保温できる箱(なければ厚手のタオル)
⑪ゴム手袋、マスク、ゴーグル、エプロン
⑫デジタルスケール
 
 
注)始める前に確認しましょう。
すべての材料と道具はそろいましたか?
ゴム手袋、マスク、ゴーグルをはめましたか?
換気、水洗いのできる場所ですか?
まわりにお子様やペットは近寄れませんか?
 
 
手作り石けんを初めて作る人や、まだ慣れていない人は『手作り石けん(コールドプロセス製法)を作る前に必ず読んでおきましょう』を必ずお読みください。慣れている人でも今一度作る前にご確認をおすすめします。

 


 

作り方

 
 
 
【 Ⅰ:苛性ソーダ水溶液を作る 】
 
 
① ビーカーに精製水を量ります。
 

 
 
 
② フタに2か所穴をあけた耐熱ガラスビンに苛性ソーダを量ります。
 

 
 
 
③ ②の苛性ソーダの入ったビンに精製水を入れ、ガラス棒で静かにかき混ぜて、苛性ソーダが溶けたらしっかりとフタをします。
注)このとき苛性ソーダ水溶液の温度が60℃~100℃に急上昇し、刺激性の蒸気が発生します。やけどに注意し、蒸気は絶対に吸い込まないように換気をして、窓があれば開けておきましょう。
 

 

 

 
 
 
④ ③のビーカーを水につけ40℃~50℃位に冷ましておきます。
 

 
 
 
 
【 Ⅱ:オイルをブレンドする 】
 
 
① 各オイルをそれぞれ量ります。
 
 
② ボウルにすべてのオイルを入れます。別の鍋にお湯を沸かし、オイルの入ったボウルをつけ、混ぜながら湯煎して40℃~50℃位に温めます。
 
 
 
 
【 Ⅲ:石けん生地を作る 】
 
 
① ⅡのオイルとⅠの苛性ソーダ水溶液の温度を40℃~50℃位の間にそろえます。
一般的な手作り石けんの本では、「両方の温度を●℃にそろえましょう。」など細かく温度設定されていることが多いのですが、そこまで神経質になる必要はありません。40℃~50℃位の間で大体同じくらいの温度であれば大丈夫です。
 
 
② オイルに苛性ソーダ水溶液を少しずつ加えながら、よくかき混ぜます。(1~2時間)
少しずつ色が変化し、石けんのいい香りがしてきます。
 
 
注)少しずつ加えることによって、ムラのないきれいな石けんができあがります。また、混ぜ方は全体をぐるぐるまんべんなく回すようにまぜましょう。泡立てたり、勢いよくたたいて生地を飛ばさないようにしましょう。
 
 
 
 
【 Ⅳ:エッセンシャルオイルを加える 】
 
 
型入れの少し前にお好みのエッセンシャルオイルを加え、全体に混ざるようにかき混ぜます。エッセンシャルオイルを加える場合、どうしても熟成期間の間に香りが薄くなってきます。つや肌流ではエッセンシャルオイルの量は全体の1%程度としています。
 
➤手作り石けんに香りをつける方法とおすすめのエッセンシャルオイル
 
 
 
 
【 Ⅴ:型入れ 】
 
 
① 生地の表面に泡だて器で線が書けるくらいになったら型入れ時です。この生地をトレースが出た状態といいます。
 

注)写真はデイリー石けんです。

 
 

ヒートショック製法
生地がトロトロのままで反応が進まないときは、生地を混ぜながら湯煎で温めます。5分ほど温めたら湯煎からはずし、再度混ぜ続け、生地の温度がぬるくなったらまた温めます。この作業を2~3回くり返してください。型入れまでの時間を短縮できます。

 
 
② 型に流し込みます。
 
 
注)生地はカスタードクリームのようにおいしそうに見えますが、決して指を入れたり、食べたししないでください。
 
 
 
 
【 Ⅵ:固める 】
 
 
生地の入ったケースを温かく保ち、反応を進めます。夏は気温が高いので、そのままでも反応は進みますが、寒い冬はケースをタオルでくるんだり、保温箱などに入れておきましょう。(表面にラップをかけておきます。)
反応が進むと固まりますが、生地が柔らかいとカットしにくいので、1週間以上はそのまま置いておきましょう。
 
 
 
 
【 Ⅶ:カットする 】
 
 
生地が固まったら、ケースから取り出し、包丁などでお好みの大きさにカットします。
注)素手でさわると手があれるので、必ずゴム手袋をはめて作業してください。
 
 
 
 
【 Ⅷ:熟成させる 】
 
 
日の当たらない風通しのよい乾燥した場所で熟成させます。熟成させる箱はできれば木箱をおすすめします。熟成が終われば使うことができます。
熟成中は石けんが汗(水滴)をかいてきます。特に梅雨時はベタベタしてきます。(たっぷり含まれたグリセリンが空気中の水分を引っ張ってきているのです。)丁寧にやさしく綿の布で拭いてあげてください。
 
私は手作り石けんは「育てる」ものだと思っています。
 

 
 
つや肌では最低6か月以上の熟成をお願いしています。(使えるようになるまで少し我慢してくださいね。)
 
よくみかける手作り石けんの本などでは「1か月で使えます」と書かれていることが多いのですが、大変申し訳ないのですが、1か月ではピリピリして到底使えません。特に手作り石けんを使いたいと思って講習会に参加される方は、お肌にトラブルを抱えていらっしゃる方が多いので、1~2か月では使わないでくださいとお話しています。
 
また、こちらも本などで「1年以内に使いきりましょう」とよく書かれていますが、私は少し違うと思っています。我が家の石けんは10年以上たった今も全く傷んでおらず、それどころか最高にお肌にやさしい石けんに育ってくれています
現在私が家庭で使っている10年物の手作り石けんは、泡立ち、洗い心地、洗った後のお肌のしっとり感はもう最高です。10年とは言いませんが、ワインと同じで手間と愛情をかけて熟成させればさせるほどお肌にやさしい石けんができあがります
ただし、熟成環境や保存方法によっては、変色してきたりしますので、そんな時はお早い目にお使いください。
 
詳しい熟成の方法➤手作り石けんの洗い心地は熟成方法で決まる
 
 
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